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くらしの健康診断
2026年03月11日 [くらしの健康診断]

どうする?認知症や障害者の選択の自由と安全

選択
みなさん、こんにちは!司法書士の清水です。
当所では常時50名近くの方の被後見人(任意後見含む)の生活をサポートしております。
50代後半〜90代後半と中高年の方が多く、脳梗塞、認知症がきっかけで後見人として就任する場合が大半ですが、知的障害や精神障害をお持ちの方を担当する機会も増えています。

本コラムでは認知症の方や障害ある方の選択のリスクと自由の狭間で悩む後見人の葛藤についてお話します。

正しい選択・判断ができないことのリスク
後見人の役割として、本人の選択の自由や自己決定を尊重しながら支援することは非常に重要です。
私たちの日常生活は選択の連続で成り立っているといっても過言でないと思います。
例えば、何を食べるか、どこに出かけるかなど、今日一日の行動を決めるものから、在宅で生活し続けるのか、施設に入居するかなど、人生の方向性や将来に大きな影響を与えるような決断が含まれます。

認知症の方や障害ある方にとって、正しい選択・判断ができないことはリスクを伴い生活に大きな影響を与えます。
例えば以下のようなことが考えられます。

安全性のリスク
ガスを使った調理、車の運転、公共交通機関を乗り継ぐ遠出、これらを一人で行うことで火事や事故などにつながる恐れもあります。

経済的リスク
契約を伴うような多額の金額が動く取引や買い物によって財産を失う危険性があり、経済的損失は、本人の生活に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

健康を損なうリスク
薬の服用を忘れたり、逆に過剰に服用したりする。
自覚症状や痛みがあるのに、病院への受診を避ける。
健康に悪い食品を過剰に摂取するなど適切な食事がとれない。
以上のようなことは、健康状態を悪化させる原因となります。

社会的に孤立するリスク
被害妄想などの影響で親しい家族に憎悪をいだいてしまい人間関係の維持が難しくなったり、徘徊や攻撃的行為をしてしまい近所の人と疎遠となるなどが原因で社会的孤立が進み、ひきこもり状態になるなど心身の健康にも影響が及ぶことがあります。

意思の尊重と支援のバランスの難しさ
正しい判断ができない場合、本人の意思をどこまで尊重するかが課題となります。
「愚行権」という考え方があります。他人に害を及ぼさない限り、たとえそれが不合理な選択であっても、自分の意思で行動する権利です。
この愚行権は私たちの生活のあらゆる場面で行使されるものなのですが、認知症や障害を持つ方々にとっては、どのように機能するのでしょうか?
自分の意思で選んだ行動がリスクを伴う場合、後見人はその選択をどこまで尊重すべきなのでしょうか?

例)認知症を患う高齢の一人暮らしの方は、自宅での生活を強く希望し続けています。一方、日常的にガスを消し忘れれてしまったり、徘徊し迷子になって家に帰れなくなり警察に保護されることが多くなっています。本人の希望を尊重するか、安全のために施設に入ってもらうのか葛藤が生じます。

例)知的障害の他、肢体不自由で車椅子生活を送る障害のある方が、ケガをする危険性の高い、あるスポーツに挑戦したいと言います。周りが断念するように説得しても聞く耳を持ちません。最大限の安全対策を講じたとしても、ケガのリスクはあります。そのような中で、その人の挑戦を応援してもよいのか悩みます。

例)認知症の方や障害ある方に重篤な病がみつかりました。医師から、とある治療法を勧められましたが、治療をかたくなに拒否し、病院への受診もしない、このまま自然な形で最期を迎えたいと繰り返し訴えます。意思を尊重するのか、適切なケアを受けさせるのか、家族や医療関係者は倫理的な判断を迫られます。
※成年後見人には医療行為への同意権がありませんので、家族や医療関係者に判断を委ねることになります。

本人の意思を無視することは、自律性や尊厳を損なうことになりますが、一方で、過度に自由を容認してしまうと生活面のリスクを伴ったり、場合によっては生命が脅かされてしまうこともあります。
認知症や障害の影響で判断能力が低下し、正しい判断を下すことができなくなぅた場合、本人にとって最善の利益になるかどうかを判断し、本人の代わりに何らかの決定を行うことが後見人の職責でもあります。
ただ、頭ごなしに本人の意思を否定し愚行権を奪うのではなく、その権利を尊重しつつ、安全を確保するための適切なバランスを見つけるにはどうしたらよいのだろうかと日々悩みつづけています。

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