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その他
2027年04月12日 [その他]

人生の終い方 A

花束
みなさん、こんにちは!
後見担当事務です。
当所では常時50名近くの方の被後見人(任意後見含む)の生活をサポートしております。
障害のある方の中には20代の方もいらっしゃいますが、50代後半〜90代後半と中高年の方が多いです。
後見人として、お元気なときの日々のくらしのサポートから病気で終末期状態になった場合の最期の時まで、その方の人生に寄り添っていくことになります。
心を砕いていることのひとつが、「人生の終い方」です。
最期の時まで、その人らしく居られるにはどうしたらいいのか?、後見人として何ができるか?所内で議論を重ね、ご親族や福祉関係者にアドバイスをいただくこともしばしばあります。

これまで50名弱の方を見送ってきた中で、印象に残る「人生の終い方」をされた方のエピソードをお話します。
*プライバシーを考慮し、事実関係の一部を変更しています。あらかじめご了承ください。

お母様の行く末を託したい50代女性
進行性の病気がみつかり余命宣告を受けた50代女性の方から80代のお母様のこれからの生活についてご相談をお受けしました。
お父様をお若くして亡くされて以来、母ひとり子一人で支えあいながら暮らしてこられたそうです。
透析を受けないといけない80代のお母様の在宅介護と仕事の両立の日々の中での突然の病の発覚。
「自分のことよりも、これから母がどうなっちゃうんだろうと・・・心配で」というのが娘様の第一声でした。
娘様の一番の希望は「母方の親族はいるものの、自分がこうなってしまった以上、迷惑をかけられない。私がいつ何時、入院してもおかしくない状態なので、母の生活を支えてほしい」ということでした。

娘様とお母様との橋渡し
娘様は「自分が今、動けるうちに、一人になった母の生活をどのようにしていくか早急に考えて、その実現に向けて自分でもできる限りのことをしてあげたい」という気持ちで下記のことを具体的に計画されていました。
@母の身体状況を考えると、在宅での一人暮らしは難しいことから、面倒見の良い有料老人ホームを探してあげたい。
A母の生活資金を捻出するために、自宅マンションの売却をしたい。

娘さんは自分の体の心配は二の次で、残された時間をお母様のために捧げようと必死でしたが、現実を受け止め切れていないお母様は娘さんの想いと裏腹に、事が進むことで娘との別れの時が早まってしまうのではないか…と後ろ向きな様子が見受けられました。

当所はお母様、娘様双方のお互いに言いたくても言えないこと、やり場のない思いが痛いくらいわかりましたが、特にお母様の気持ちに流され、考え倦ねてしまうわけにもいきません。
おふたりのクッション役として、相手にぶつけられない気持ちを受け止めながら、お母様と当所との間で「任意後見契約」など手続を代行するための契約を締結し、娘様の残された時間が刻々と過ぎてゆく中で、最大限できることをサポートしました。

最期の時まで母を思う子の姿
娘様が病を押して自分のために懸命に動いている姿を目の当たりにしていく中で、お母様も少しずつ前向きになり、有料老人ホームの候補先探しに積極的にかかわるようになりました。
また、「透析を受けている病院にそのまま通い続けたい、透析の合間の日はぐったり疲れているので遠出ができず、通いなれたショッピングモールで買い物をするのが唯一の気晴らしだったから家の近くの施設がよい」など具体的に希望をあげてくれるようになりました。
家の売却が決まり、売却金を元手にお母様の希望に叶う有料老人ホームが最終決定した直後、娘様は帰らぬ人となりました。
娘様の最期、救急搬送で運ばれた病院にお母様と一緒に駆け付けたときに、娘様にすがって泣き続けるお母様を子どもをやさしくなだめるように「あいおいさんがついているから、大丈夫だから」と何度も何度もおっしゃっていたことが印象的でした。
 
当所のスタッフの多くが娘様と年が近いものですから、我が事のように感じ入りました。いくら肉親だったとしても、窮地に陥ったときに自分だったらここまで優しくできるものなのかと考えさせられました。
お母様の老人ホーム入居に間に合わず、お母様が環境にも馴染んで笑顔で暮らせるようになった様子を娘様にお見せすることができなかったことが、大変心残りでした。